示談契約の効力
加害者との間で示談契約を締結する場合、通常は示談契約書または免責証書を交わします。
示談契約書や免責証書には、被害者が加害者から損害賠償金として一定の金額の支払いを受ける、加害者から一定の金額の支払いを受けた場合、被害者は加害者に対して一切の請求をしないといった文言が記載されています。。
示談契約の当事者は締結した示談契約に拘束されますから、被害者は加害者に対して合意した金額以外の金銭を請求できないのが原則です。
示談後も一定の損害賠償請求は認める必要性がある
示談後に、予想に反して身体に変調を来す場合があります。
このような場合に示談書記載のとおり一切損害賠償請求ができないとなると、損害の公平な分担の理念は失われますし、安心して示談もできません。
そこで、一定の場合には、示談後においても損害賠償請求が認められます。
示談後に損害賠償請求が認められる例外的なケース
@ 示談契約が相手方の詐欺・脅迫に基づいて締結されたものである場合
A 示談契約の内容が正義・公平に反している場合
例:事故による損害が50万円程度なのに、500万円の損害賠償金を支払う旨合意した。
B (1)全損害を正確に把握し難い状況のもとで、(2)早急に、(3)少額の賠償金で、示談がなされた場合
→示談締結時に予想し得なかった損害については示談契約は拘束力を及ぼさない(最高裁昭和43年3月15日判決・事件番号 昭和40年(オ)第347号 参照)
したがって、示談後において予想もできない後遺障害が発生したケースにおいては、示談金とは別途に損害賠償請求できます。
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