死亡者本人が被った損害については法定相続人でなければ請求することはできません。
しかし、ご家族が死亡された場合、民法711条により近親者について固有の慰謝料が認められます。
ここでいう近親者とは、父母、配偶者、子です。
例えば、子が存命である場合、父母は法定相続人ではありませんが、711条によって父母も固有の慰謝料請求が可能です。
また、711条が定める近親者にあたらなくとも一定の近親者については固有の慰謝料が認められる場合があります。
固有の慰謝料請求が認められる近親者の範囲について、判例は「本条に該当しない者であっても、被害者との間に本条所定の者と実質的に同視できる身分関係が存在し、被害者の死亡により甚大な精神的苦痛を受けた者には、本条が類推適用される。」としています(最高裁昭和49年12月17日判決。民集28・10・2040)。
例えば、同居していた孫が交通事故によって死亡された場合、父母が生存されていれば祖父母は法定相続人とはなりません。
しかし、この場合でも、祖父母も711条が定める親近者と同程度に親しい者と判断されることになれば、固有の慰謝料が認定されることになります。
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