死亡による逸失利益は事故当時の実収入額を基礎として算定されます。
死亡当時被害者が無収入であれば、無収入であることを基礎として算定することになりますから、死亡による逸失利益の請求は認められないのが原則です。
もっとも、事故発生の時点において将来収入を得る蓋然性が認定される場合には、その収入分を基礎としての逸失利益の請求が認容されます。
学生・幼児
死亡した被害者が学生や幼児であれば、死亡当時収入はありません。
しかし、学生や幼児であれば、将来就労して収入を得るだろう高度の蓋然性が認められます。
よって、死亡した被害者が学生や幼児の場合には逸失利益の請求は認容されます。
学生・幼児の場合、一般的に全年齢労働者の平均賃金額を基礎として死亡逸失利益が算定されます(男女別の全年齢平均賃金額を基礎とされる場合もあります。)。
なお、死亡者が大学生であれば基礎収入額として全年齢大卒労働者の平均賃金額が基礎とされますが、大学生になっていない者についても個別具体的な事情によっては全年齢大卒の平均賃金額が基礎とされることがあります。
無職者
死亡した被害者が成人であり(但し、大学生を除く。)、無職かつ無収入である場合、死亡による逸失利益の請求は認容されないのが原則です。
もっとも、この場合でも個別具体的な事情に基づいて、被害者について労働能力及び労働意欲があり、将来就労する蓋然性があったものと認定されれば、死亡による逸失利益の請求は認容されます。
この場合の基礎収入額は、再就職によって得られただろうと予測される収入額です。特段の事情がない限り失業前の収入を参考にするべきとされています。
関連ページ
- 死亡による逸失利益の算定方法
- 死亡逸失利益の算定方法を説明しています。
- 死亡逸失利益として賠償請求できる年金もある
- 交通事故による死亡逸失利益として賠償請求できる年金もあることを説明しています。