後遺障害に関する損害賠償金を受け取るまでの一連の流れを説明しています。

後遺障害に関する損害賠償の請求方法

基本的な流れ

治療終了から後遺障害に関する損害賠償請求に至るまでの基本的な流れは以下のとおりです。

 

@ 医師より後遺障害診断書を作成してもらう
           ↓
A 自分でもしくは相手方加入の任意保険会社に依頼して、相手方加入の自賠責保険取扱会社に対して後遺障害診断書を送付する。
           ↓
B 損害保険料率算定機構によって等級認定がされ、その結果が被害者に通知される。
           ↓
C 認定された等級結果に基づいて、被害者が加害者側に損害賠償請求をする、もしくは加害者側から損害賠償の提示を受ける。
           ↓
D 被害者と加害者側で示談交渉する。
   示談ができなければ、別途の手続(訴訟手続など)を利用する。

 

損害保険料率算定機構にて、予想していた等級を下回る等級が認定された、もしくは非該当と認定された場合の一般的な流れは以下のとおりです。

■ 等級結果を受け入れたうえで示談をする場合
  上記CからDまでの流れと同様

 

 

 

■ 予想していた等級を求めて手続を進めて行く場合(異議申立による結果が納得のいく内容に転じた場合)
@ 医師より後遺障害診断書を作成してもらう
           ↓
A 自分でもしくは相手方加入の任意保険会社に依頼して、相手方加入の自賠責保険取扱会社に対して後遺障害診断書を送付する。
           ↓
B 損害保険料率算定機構によって等級認定がされ、その結果が被害者に通知される。
           ↓
W 損害保険料率算定機構に対して異議申立を行う。
           ↓
X 異議申立の結果、認定等級が予想していた内容のとおりのものとなった。
           ↓
C 認定された等級結果に基づいて、被害者が加害者側に損害賠償請求をする、もしくは加害者側から損害賠償の提示を受ける。
           ↓
D 被害者と加害者側で示談交渉する。
   示談ができなければ、別途の手続(訴訟手続など)を利用する。

 

■ 予想していた等級を求めて手続を進めて行く場合(異議申立による結果が納得のいく内容とならなかった場合)
@ 医師より後遺障害診断書を作成してもらう
           ↓
A 自分でもしくは相手方加入の任意保険会社に依頼して、相手方加入の自賠責保険取扱会社に対して後遺障害診断書を送付する。
           ↓
B 損害保険料率算定機構によって等級認定がされ、その結果が被害者に通知される。
           ↓
W 損害保険料率算定機構に対して異議申立を行う。
           ↓
X 異議申立の結果、認定等級が予想していた内容のとおりのものにならなかった。
           ↓
Y 訴訟提起をする。

自動車損害保険料率算定機構に対する等級認定の申立て

 後遺障害が残存したとしても、加害者側に後遺障害が残存したことを立証しなければ、加害者側は請求には応じません。
 被害者がまず行うべき立証行動は損害保険料率算定機構に対する後遺障害等級認定の申立てとなります。

等級認定の申立て方法

 医療機関にて後遺障害診断書を作成してもらいます。
 後遺障害診断書に基づいて等級認定を行うのですが、窓口を加害者加入の任意保険会社になってもらう方法(事前認定による方法)と被害者自身が窓口になる方法(被害者請求による方法)とで、具体的な方法が異なります。

 

 事前認定による場合には、基本的には、加害者側の任意保険会社に対して後遺障害診断書を提出するだけで足ります。
 ただし、加害者側の任意保険会社から被害者に対して資料の提出を求めることがありますが、これらの要請には応じる必要があります(応じなければ等級結果がでません)。

 

 被害者請求による場合には、被害者が自分で、加害者側の自賠責保険取扱会社(事故証明書に記載されています。)に対して、後遺障害診断書や一定の書式(保険金請求書や事故の説明書など)、及び資料(診断書やレセプト)を提出していかなければなりません。

 

 事前認定による場合よりも、被害者請求による場合の方が、手続は煩雑になります。

 

損害保険料率算定機構は何を認定するのか
 

 自動車損害賠償保障法施行令2条別表には後遺障害等級表が記載されており、後遺障害等級表には1級から14級の等級、等級ごとの後遺障害の態様、等級に応じた保険金額が定められています。
 損害保険料率算定機構は、申立人が後遺障害であると訴える症状が、後遺障害等級表のどの等級に該当するのかを判断します(等級表のいずれにも該当しないと判断された場合には「非該当」と認定されます)。

認定結果は賠償金額にどう反映されるのか

・認定された等級に応じた保険金(たとえば、14級であれば75万円、12級であれば224万円、1級であれば3000万円)が支払われます。
・加害者または保険会社は認定された等級に応じて損害賠償に応じるのが一般的です(なお、自賠責保険金を先に受け取った場合、保険会社から支払われる金額は保険会社が算定した金額から自賠責保険から支払われた金額を差し引いた額になります。)。「一般的」という表現を用いるのは、加害者や保険会社は認定された等級に必ず従うわけではなく、等級に応じた後遺障害の残存を否定してくる場合もあるからです。

 

認定内容が非該当であった場合どうすればよいか

@後遺障害に関する損害賠償は請求しないものとして加害者および保険会社との間で怪我に関する損害賠償のみに関し示談交渉を進める。
A損害賠償保険料率算定機構に対し異議申立てを行う。

 

 @かAのいずれによるかは被害者が選択します。

 

 異議申立ての方法は基本的には後遺障害の申立と同様です。異議の申立書(書式は保険会社からもらいます。)および立証資料(医師の意見書や画像など)を加害者加入の任意保険会社か加害者加入の自賠責保険の取扱い会社のいずれかに提出します。

 

 ただし、異議申立てを的確に行うには、等級認定表の内容を正確に理解し、的確に反論しなければなりませんが、この点は一定の知識がある方でなければ困難です。
 異議申立てを検討されるのであれば、一度弁護士にご相談されることをお勧めします。

 

 

等級認定が出された後の行動

等級認定の申立てを被害者ご自身でされた場合、自賠責保険から等級に応じた保険金が支払われます。支払いを受けた金額よりも後遺障害が残存により被った損害額が大きい場合、その差額を被害者または保険会社に請求していきます(通常は自賠責保険金<損害賠償金です。)。
 等級認定の方法を加害者の保険会社に任せた場合(事前認定による場合)、加害者の保険会社から被害者に対して自賠責保険金を含めた損害賠償金の支払提示がされます。

弁護士窪川亮輔

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