労災保険の給付される金銭項目を紹介し、労災保険では慰謝料を払ってもらえないことを説明しています。

労災保険では慰謝料は補償されない

労災保険による給付項目

労災保険からの給付金

 労災保険からは以下の給付金が支給されます。
・療養補償給付 治療費に相当するものです。
・休業補償給付 休業損害金に相当するものです。
・障害保障給付 後遺障害逸失利益に相当するものです。後遺障害1級から7級に認定された場合には障害補償年金を、8級から14級に認定された場合には障害補償一時金を受け取ることができます。
・遺族保障給付 死亡逸失利益に相当するものです。遺族補償年金もしくは遺族補償一時金を受け取ることができます。
・特別支給金 労働者災害補償保険特別支給金支給規則に定められた各支給金です。休業特別支給金、障害特別支給金などがあります。
・葬祭給付 葬祭諸費用に相当するものです。

 

労災保険の給付項目に慰謝料はない

 労災保険からの給付項目に慰謝料はありません。

 

 よって、慰謝料については、労災保険に対してではなく、加害者側に請求していくしかありません。

 

 なお、判例は、労災保険から支払われた障害補償一時金や休業補償給付をもって、相手方から支払を受けるべき慰謝料との間で損益相殺することは許さない、としています(最高裁昭和58。4.19判決)。

弁護士窪川亮輔

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