傷害慰謝料とは精神的苦痛を金銭的に評価したものである
傷害慰謝料額とは、交通事故による怪我により被った精神的苦痛の大きさを金銭をもって評価したもののことを言います。
傷害慰謝料は精神的苦痛に対する損害賠償金ですから、精神的苦痛が小さいものであれば傷害慰謝料金額は少額になり、精神的苦痛が大きければ傷害慰謝料額は多額となります。
ただし、精神的苦痛は目に見えるわけではありません。
また、精神的苦痛の大小を測定する科学的な方法があるわけでもありません。
精神的苦痛の大小を直接確認することは不可能です。
傷害慰謝料の一般的な算定方法
そこで、判例や実務では、怪我を負った部位、怪我の態様、治療相当期間、治療相当日数等によって精神的苦痛の大小を推認し、傷害慰謝料の額を算定する方法を採用しています。
ただし、裁判所が傷害慰謝料額を算定する場合、自賠責保険が傷害慰謝料額を算定する場合、任意保険会社が傷害慰謝料額を算定する場合で、それぞれ重視する事項や算定基準が異なります。例えば、裁判所は通院相当期間の長短を重視しますが、自賠責保険は通院日数を重視します。
そのため、誰が傷害慰謝料額を算定するかによって、慰謝料金額が異なったものとなります。
そして、裁判所による算定額>任意保険会社による算定額>自賠責保険による算定額、になるのが一般的な傾向です。
弁護士が重視するのは裁判所の算定基準です。
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