加害者の不誠実な態度は慰謝料の増額事由となるのか
加害者は自らの不注意によって被害者に怪我を負わせてしまった立場にあります。
賠償責任のもとにおいて被害者が被った損害を賠償するべき義務を負うのはもちろんですが、損害賠償義務を尽くせば足りる、というわけでもありません。
道義的観点から誠実であることも求められています。
判例は、加害者に故意もしくは重過失が有る場合、著しく不誠実な態度等がある場合、これらを慰謝料の増額事由としています。
加害者に「故意もしくは重過失」があると評価させる事情
ひき逃げ、酒酔い、著しい速度超過、ことさらの赤信号無視など。
加害者に「著しく不誠実な態度等がある」と評価させる事情
被害者に一度も謝罪もしない、正当な理由が理由がないのに責任転嫁をはかった、被害者を侮辱したりした場合など。
単に賠償交渉を保険会社任せにしたというだけでは「著しい」不誠実な態度とは言えません。
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