症状固定時期以降の治療費が認められる場面を説明しています。

症状固定後も治療費を請求できる場合はある

症状固定後は原則として治療費の支払いは認められない

 原則として加害者には症状固定後に発生した治療費の賠償責任はありません。

 

 判例は、損害賠償の対象となる治療費を「必要かつ相当な実費相当」としているところ、症状固定後に発生した治療費は通常「必要かつ相当な実費相当」とは判断されないからです。

 

 

 

 

症状固定後に発生した治療費でも賠償の対象となる場合はある

 症状固定後に行われた治療行為であっても、「必要かつ相当」なものであると判断される場合、その治療費は例外的に損害賠償の対象となります。

症状固定後の治療費の請求を認容した裁判例

@右大腿部切断の事例
   症状固定後に義足を作成するために通院した場合の治療費を認めた(名古屋高判平2.7.25)
A左上肢にRSDの後遺障害残存の事例
  症状固定後においてもブロック療法のため通院の必要性が認められるとして、症状固定後9ヶ月強の治療費、交通費を認めた(東京地判平19.7.23)
B右腕神経叢損傷後の後遺障害残存の事例
  症状固定後も右肘屈曲力の保持、右肩拘縮の予防のための筋力トレーニング等のリハビリテーションの継続が必要であり、整骨院での施術を受ける必要性・相当性があるとして、平均余命までの将来の施術費を認めた(大阪地判平20.12.4)

弁護士窪川亮輔

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