自転車による多大な損害賠償責任に備えるために保険に加入する必要があります。

自転車での交通事故に備えて

自転車運転者が加害者となる交通事故

 自転車は、通勤、通学、買い物など日常生活のあらゆる場面で活躍する交通手段であり、日常生活において欠かすことのできない乗り物です。

 

 自転車は、速度の調整がしやすく、事故が起こりにくいためか、これまでのところ自転車を乗るのに免許が必要とはされていません。

 

 しかし、自転車も交通事故とは無関係ではありません。

 

 一般社団法人損害保険協会が出した統計によりますと、平成25年に発生した全ての交通事故のうち、自転車が絡む事故の割合は2割程度です。
 自転車が絡む全ての交通事故のうち、自転車運転者が加害者となった事故の占める割合は15%強です(約3,000件)。

 

自転車運転者の損害賠償義務

 年間3000件(ただし平成24年度)、自転車運転者が加害者となる交通事故が発生しています。
 件数が多いのか、少ないのか、評価は分かれるところだと思います。
 ただし、自転車を運転する限り誰もが加害者になる可能性があること、それ自体は否定できないものとご理解いただけると思います。

 

 そして、自転車を運転して交通事故を起こした場合でも、自動車を運転して交通事故を起こした場合と同様に、運転者は損害賠償責任を負います

 

 もちろん、平均すれば、自転車運転者の賠償金額は、自動車運転者の賠償金額に比べて、遙かに小さいものであるはずです。
 しかし、賠償金額の差は、自動車だから、とか自転車だから、といった形式的なものではありません。
 自動車事故による損害額が自転車事故による損害額よりも大きい傾向にあるのは、自動車の車重の方が自転車の車重よりも遙かに重く、また、走行速度も自動車の方が自転車よりも速いことが多いために、自動車の方が自転車よりも、他人の所有物や身体に対して甚大な損傷を与えてしまう可能性が高いからです。

 

 自転車を運転していた場合であっても、他人の所有物や身体に甚大な損傷を与えてしまった場合、被害者に対して損害を賠償しなくてはなりません。
 例えば、自転車を歩行者に衝突させて、歩行者が頭を打つなどして大けがを負ってしまった場合、賠償するべき金額は極めて多額なものになってしまいます。賠償金額が1億円に近いものになった事例も複数あります。

自転車賠償保険

 自転車に乗れば、誰でも非常に多額の損害賠償義務を負う可能性があります。

 

 そのようなリスクをゼロにすることは不可能です.。
 もっとも、リスクを減らすことはできます。

 

 その手段が自転車賠償保険に加入することです。
 近年、自動車保険会社だけでなくクレジット会社までもが自転車賠償保険を商品として提供しております。
 保険料は年間数千円程度でありますが、自転車事故の加害者として非常に重い責任を背負うリスクのことを考えれば、保険加入について十分検討に値するのではないか、と思います。

弁護士窪川亮輔

関連ページ

加害者が無保険である場合の損害賠償金回収のプロセス
交通事故の加害者が無保険である場合、弁護士がどのようにして損害賠償を目指すのかご説明しています。
事故の相手方が無保険である場合のリスクを回避する方法
交通事故の加害者が無保険であった場合、加害者からは損害が賠償されないリスクがあります。そのリスクを回避する諸制度について説明しています。
交通事故でも国民健康保険は利用できる
交通事故による怪我の治療を受けるにあたっても、国民健康保険の利用が可能であることを説明しています。

ホーム RSS購読 サイトマップ