後遺障害逸失利益の具体的な算定方法を説明します。

後遺障害逸失利益の算定方法

後遺障害逸失利益とは

後遺障害逸失利益とは

 後遺障害逸失利益とは、後遺障害が残ったことによって失うことになった将来の収入のことを指します。

 

 

 

 

 

 

 

後遺障害逸失利益の算定方法

 

 後遺障害逸失利益は以下の算定式により算定します。

 

 基礎収入額×労働能力喪失率×労働能力喪失期間

 

基礎収入額

 事故発生当時の収入額とするのが通常です。

労働能力喪失率

 「赤い本」(「損害賠償算定基準」公益財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部編)では、「労働能力の低下の程度については、労働省基準局通牒(昭32・7・2基発第551号)別表労働能力喪失表を参考とし、被害者の職業、年齢、性別、後遺症の部位、程度、事故前後の稼働状況等を総合的に判断して具体例にあてはめて評価する。」としています。

労働能力喪失期間

 「赤い本」では「労働能力喪失期間は、原則として67歳までとしています。

 

 未就労者の就労の始期については18歳ですが、大学卒業を前提とする場合は大学卒業予定時となります。

 

 高齢者については、平成12年簡易生命表の余命の二分の一とが労働能力喪失期間となります。但し、事案によっては「期間に応じた喪失率の逓減を認めることもある。」とされています。

 

 ところで、判例実務は、後遺障害逸失利益の算定にあたって労働能力喪失期間そのままの数値を用いることはしません。
 中間利息控除の発想から、ライプニッツ係数(ホフマン係数の場合もありうる)という係数を用いることになります。

 

例えば、5年間労働能力を100%と喪失したとします。
そうすると、年収の5年分にあたる金額を請求できるはずです。
しかし、判例は年収の5年分ではなく、4.329年分にあたる金額をしか請求できないとしているのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

具体的な算定例

 事故当時600万円の年収を得られていた方が後遺障害の残存により5年間10%の労働能力を喪失した場合の遺障害逸失利益は以下のとおり算定します。

 

 基礎収入額600万円×労働能力喪失率10%×労働能力期間5年に対応したライプニッツ係数4.329=259万7400円

 

 よって、上記の方は259万7400円を後遺障害逸失利益として請求することができます。

弁護士窪川亮輔

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