後遺障害逸失利益は事故当時の収入額に基づいて算定されるのが原則
後遺障害逸失利益とは、後遺障害が残ったことによって失ってしまったはずの将来の収入、をいいます。
将来これだけの収入を得ることができたはずだ、という点は被害者が立証しなければなりません。
その立証は簡単なことではありませんが、事故当時において一定の収入を得ていたのならば、将来も事故当時に得ていた収入程度は得ることができただろうと推定はできます。
よって、判例は、 事故発生当時の収入額を将来得ることができたはずの収入額と取扱います。
事故当時無職であっても必ずしも逸失利益は否定されるわけではない
事故当時の収入額をもとにして逸失利益を算定するという立場を貫けば、事故当時に無職の場合、逸失利益は否定されてしまいそうです。
しかし、事故当時に無職であったとしても、遠い将来まで無職であるとは限りません。
人は働いて、収入を得ない限り、生きてはいけないのですから。
そこで、判例は、将来就職して一定の収入を得る可能性があったことが立証できれば、その収入額を基準として後遺障害逸失利益を算定すると取扱いもしています。
ただし、問題は、どのようにして、将来再就職し、収入が得られる可能性があったこと、を立証するかです。
単に「将来再就職する予定だった。」と主張するだけでは、立証したことにはなりません。
個別具体的な事情に基づいた具体的な可能性を立証する必要があります。
例えば、事故前に退社した理由、就職活動の状況、被害者の年齢、被害者の生活状況、被害者の世帯での立場などの諸事情に基づいて、将来就職する可能性があったこと、一定の収入を得る可能性があったことを立証していきます。
事故前に内定が決まっていたとの事情があれば、将来再就職し、収入が得られる可能性があったことの立証は容易です。
以上から、事故当時無職であっても、必ずしも逸失利益は否定されるわけではありません。
加害者側から、逸失利益の賠償を認めてもらえずお困りの状況にあるなら、桜風法律事務所にご相談ください。
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